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いなべん(田舎弁護士) みのる弁護士法律事務所    「的外れ 2006年12月号より」

2016.10.18

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千田 實 弁護士の的外れ 
2006年12月号 より

 

著者プロフィール

弁護士 千田 實 氏(ちだ みのる)

みのる法律事務所 所長

 

雅号 青空浮世乃捨

 

 

〜メディカルフードサービスとのつながり〜

MFSも賛助会員として参加しているNPO法人食事療法サポートセンターの理事として千田實先生も活動されております。

当社代表 松島は千田實先生の著書を読み、深く感銘を受け、少しでも多くの方に食事療法を長く続けて欲しいと思いニュースレターに抜粋記事として掲載していきます。

 

千田先生についてさらに詳しくはこちら→ http://www.minoru-law.com/profile.html

 

 
 

いなべん(田舎弁護士) みのる弁護士法律事務所 

  「的外れ 2006年12月号より

 

最近 「生活習慣病」という言葉をよく聞く。それは 「体に負担になる生活習慣を続けることによって引き起こされる病気」をまとめた呼び名だ。

 

数年前までは「成人病」と呼ばれていたが、中高年がよくかかる病気ということで、そのように呼んでいた。

 

最近は子どもにも増えており、これらの病気は年齢だけが原因ではなく、日常生活のいろいろな部分にその原因があることがわかってきた。

成人病という呼び方をやめて、生活習慣病と呼ぶようになった。生活習慣病は、前記のとおり生活習慣によって引き起こされるいろいろな病気をまとめた呼び方だが、具体的にはどのような病気があるか。

 

その代表的なものは、①高脂血症と②糖尿病と③高血圧。この3つは、いずれも自覚症状が出にくく、

サイレントキラー(沈黙の殺人者)と呼ばれている。

動脈硬化の原因となり、さらに心臓病や脳卒中の原因となる。

こう考えると、生活習慣病は恐ろしい病気だ。高脂血症、糖尿病、高血圧の3大生活習慣病の他に、悪性腫瘍、肝臓病、腎臓病、骨粗しょう症なども生活習慣病の中に入る。

もちろん、心臓病や脳卒中も生活習慣病である。

 

生活習慣病になる原因の1つに、遺伝的要素がある。

この遺伝的要素は、努力によって改善することは難しいが、生活習慣を改善することによって生活習慣病を予防することが可能だとのことである。

生活習慣を改善して生活習慣病を予防するためには、まず、生活習慣病となる原因を知る必要がある。

 

生活習慣病を発症させ、それを進行させる生活習慣として特に関係の深いのは、次の5つだ。

 

(1)食べすぎ、偏食

(2)運動不足

(3)ストレス

(4)喫煙

(5)飲みすぎ

 

この5項目のいずれも、一時的でもそれがあまりにも極端になれば、一時的には体の調子を崩す原因となる。例えば、飲み過ぎによる急性アルコール中毒などがそれである。

さらにそれを長期間続けると、一時的な疾患から慢性の疾患になり、生活習慣病になる。

 

恐いのは、上記5項目が習慣となっていて、普通の状態となり、あまり意識しないことである。

生活習慣病の予防方法は単純明快だ。これらの悪い原因を取り除くことである。具体的に言うと次のようになる。

 

(1)食べすぎ、偏食をしない

(2)適度な運動を続ける

(3)ストレスを溜めない

(4)煙草は吸わない

(5)酒は飲みすぎない

 

もう少し噛み砕いて言うと、

 

(1)1日30食品を目標にバランスの良い食事をする。

(2)動物性脂肪より植物性脂肪を摂り、肉より魚をとる。

(3)塩分は1日10g以下、砂糖は1日50g以下とする。

(4)運動はウォーキングや水泳などの有酸素運動を継続的に続ける。

(5)ストレスは溜めないようにし、休息と睡眠を十分にとる。

(6)煙草は吸わない。

(7)酒は適量にする。

(8)年に1度は健康診断を受ける。

 

生活習慣病の中で、その代表ともいうべき高脂血症、糖尿病、高血圧は自覚症状がなく、よく注意しなければ症状を見逃してしまう。

「サイレントキラー」と呼ばれるほどだから、なかなか症状を自覚することは難しい。しかし、よく注意していれば気づくことも可能だ。次のような症状が出るとのことだ。注意深く観察していれば気づくかもしれない。

 

高脂血症は、まぶたが黄色くなったり膨らんだり、足首が太くなるなどの初期症状が見られるとのことである。

 

糖尿病は、喉が渇くとか、尿の回数が多くなるとか、手足が痺れるなどが初期症状として見られるとのことである。

 

高血圧では、頭痛、目眩、耳鳴りなどが初期症状として出るとのことである。これらの症状はいずれもそれほど深刻な症状ではなく、ついつい見逃してしまう。

 

患者本人はもとより、家族など周囲の人も注意することが大事となる。本人より周りの人の方が気づくことが多いように思う。

本人は、少しくらい気になっていても痛みなどの症状が出なければ、病院に行く気にはなれない。周囲の人が注意してやる必要がある。

 

高脂血症、糖尿病、高血圧はそれ自体では命に関わることは少ないが、自覚症状がないために知らないうちに病気が進行し、動脈硬化を引き起こす。

 

動脈硬化は、脳卒中や心臓病などの命に関わる重大発作につながる危険性がある。

 

脳卒中や心臓病を避けるためには、動脈硬化を防止しなければならない。

 

動脈硬化を防止するためには、高脂血症、糖尿病、高血圧を予防しなければならない。

 

そのためには生活習慣を改善しなければならない。このサイクルは強く意識したい。

 

年を取っていくと、老化現象が起こる。この老化現象は、生活習慣病を進行させる1つの原因ではある。

老化によって進行しやすい症状は、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の一部であると言われている。

年を取ったからといって、全て年のせいにしないで、生活習慣を改善し、生活習慣病の進行を食い止めなければならない。

 

肥満と生活習慣病は深い関係があると言われている。

肥満は、糖尿病と高脂血症になりやすいと言われている。

 

食事によって摂取された糖分やコレステロールは、人間が活動したり、生命を維持されるために使われる。

使われずに余ったものは、血液中に長い時間存在する。

最後は、体の中の脂肪細胞に蓄積される。

それがどんどん積み重なって肥満になる。

肥満は、生活習慣病になりやすい生活習慣を長く続けているという証拠である。

 

實は、出浦先生の診断を受ける時点では68kgの体重で、BMI、即ち体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる数値は25.6となり、標準BMI22を超えており肥満であった。

 

最もひどい時は83kgであり、BMIは31.2であった。理想のBMIは20ないし23といわれている。かつての實は、明らかに肥満であった。

 

出浦先生の指導を受けるようになり、58kgまで減量できた。これだとBMIは21.8となり、肥満ではなく標準的であり、理想的体重である。

 

その結果は、糖尿病と高血圧の薬が不要になるという形になって表れた。

 

コレステロールも中性脂肪も適正値となった。

肥満は生活習慣病の危険信号である。この危険信号は、大変わかりやすく、見やすい信号だ。

体重計に乗ればすぐわかる。体重計に乗らなくとも、見た目でほぼ判断できる。誰にでもわかる身近で、手軽な信号だ。生活習慣病を予防するためには、まず肥満状態かどうかを自ら確かめて、肥満を治さなければならない。生活習慣病を予防・治療するためには、肥満を解消することが基本である。

 

肥満を防止するためには、食事と運動がポイントとなる。

血糖値を下げる薬はある。血圧を下げる薬もある。

 

しかし、生活習慣を改善しなければ、薬も効きにくい。薬での治療は、生活習慣の改善、つまり食事療法や運動療法をしてもその効果が表れない場合にするのが正しい気がする。

もちろん、薬を使用しながらも、生活習慣を改善することも必要である。

 

實も加代子も、降圧剤やインスリンを使う前に生活習慣の改善、つまり食事療法や運動療法をやっておけばよかったと返す返すも残念に思う。

 

出浦先生も 「もう少し早く来ていればよかった」といつも残念がってくれる。

もっと早くから生活習慣の改善に取り組んでいればインスリン注射の必要もなかったかもしれず、腎機能が10%に落ちる前に改善ができたはずだというのであろう。

 

實は出浦先生の指導の下に、食事療法や運動療法によって全く薬を使わなくても正常な血糖値と血圧を保持できる状態となった。

 

これは、信じられないような事実なのだ。

 

實と加代子はその経験から、生活習慣病は、まず生活習慣の改善をしなければならないことを痛感した。

生活習慣病を予防するためにも、またすでに生活習慣病となっている人の治療方法としても、食事療法と運動療法を心の底から勧めたい。

 

實も加代子も、そのことを伝えたくて本書を書いていると言っても過言ではない。

 

高脂血症、糖尿病、高血圧は、サイレントキラーと呼ばれるほど自覚症状が出ない。

これらの状態となっているかどうかは、血液検査や血圧測定をしなければわからない。病院に行って検査を受けることになる。面倒臭いと言えば面倒臭い。

痛くも痒くもないのに、わざわざ病院に行って検査を受けることは、口で言うほど簡単ではない。

 

職場の定期検診などでこれらの病気は発見されることが多い。實のように自営していると定期検診の機会も少なく、ついつい検査を受けないでいる。

 

太っているかどうかは、検査を受けなくとも見た目だけで判断できる。肥満は、高脂血症、糖尿病、高血圧になっている証拠だと考えてもそう大きくは間違っていない。

 

つまり、太っていれば高脂血症か糖尿病か高血圧のいずれか、あるいはそれらのいくつかを合わせ持っていると思った方が良い。

 

だから、太っていると思われる人は生活習慣を改善するに越したことはない。肥満を防止するための生活習慣の改善は、食事と運動の改善である。

 

食事は、一言で言えば 「食べすぎない」と言うことになる。食べすぎないということの中には、飲みすぎないことも含まれる。

 

これまで、實の暴飲暴食の過去についても述べたが、反面教師とされたい。

 

運動は、やりすぎる必要はない。いや、やりすぎてはいけない。楽な運動を継続することが何よりも大事だ。實は、朝晩各1時間ずつのウォーキングを続けてすでに1年4ヶ月が経ったが、1日も休んだことはない。

 

正直言うと、休みたいときもある。しかし、1歩歩き出すと、予定の時間は歩き切るものだ。何事もまず一歩を踏み出さなければならない。

 

實は、ミニミニ体育館をグルグル歩く。退屈で退屈で飽きてくる。そんなとき、歩きながら講演の予行演習をした。

1時間はあっという間に過ぎた。それからは、1時間のウォーキングの間は、本の原稿や訴状や答弁書を頭の中で書くようになった。頭が疲れたときは、行きつけの食べ物屋のベスト10を選んでみたりすることもある。

 

何事も工夫が大事なようだ。

 

これもまた試行錯誤だ。いろいろ考えることが人生を楽しくするようだ。

實も加代子も、医療の専門家ではない。

一患者にすぎない。その患者が、出浦先生という食事療法の大家に指導を受けられるという幸運に巡り会い、出浦先生の指導により試行錯誤を繰り返している中で感じたものをこの本でまとめてみている。

 

その中で最も強調したいのは、難しい医学の話ではない。シンプルに言いたい。

 

「太りすぎは、生活習慣病の危険信号である。太りすぎないようにしよう」

そのためには

「食べ過ぎないようにしよう」「体を動かそう」と。

 

太りすぎは、専門的知識などなくても気づくことができる。また、太りすぎを防止するため、食べすぎないということと適度な運動をするということは、誰にでもすぐに実行できることである。

医療の専門家の力を借りる必要もない。だから、自分が太りすぎているかどうかを確かめ、太りすぎていると思えたら、食べすぎをやめ、適度な運動をすればよい。

 

こんなことは簡単にできそうに思うが、食べ過ぎをやめること、つまり腹八分に抑えることと適度な運動を継続することは、できそうでなかなかできないことである。

 

食べ過ぎないことも適度な運動も、思いついた1、2日はできるが、継続することが難しい。つまり、三日坊主になってしまう。

 

三日坊主にならないためには、心が肝心だ 「決めたらやる」ということが何よりも大事だ。

 

これは、生活習慣病を予防するための生活改善ということに留まらない。限られた人生の中で目一杯生きてやろうと思えば、やろうと決めたことはやらなければ駄目だ。

 

特別、他の人がやれないような難しい業をやる必要はない。ごく当たり前のことをわざやると決めた以上は、積み重ねることだ。

 

小さなことの積み重ねこそ、大きなことを実現させる。

暴飲暴食をしないと決めたら、できるだけ飲み会には出席しないとか、3杯目のお代わりはしないとかの積み重ねである。

1時間ウォーキングをすると決めたら、まず毎日第1歩を踏み出すことである。

特別大きなことをするわけではない。

 

1歩1歩の積み重ねが、目標の1日1万歩のウォーキングをなさしめるのである。

人生は、目標を持たなければ面白くない。

その目標に向かってコツコツと積み重ねることは楽しいことだ。

 

生活習慣の改善も、オーバーに言えば人生設計の1つに組み込まれる極めて重大な要素である。

加齢すれば、体力は落ちる。病も得る。そのような中でどのように生きて行くか、どのような目標を持って残された人生を歩むかは、年を取れば取るほど、病を得れば得るほど、真剣に考えなければならない問題となる。

 

目標を立て、それに向かって進むことが、あるべき生活習慣である。

生活習慣病を予防・治療するための生活習慣の改善ができないのでは、人生の目標を達成することは難しい。

生活習慣病を予防・治療するための生活改善は、人生そのものの改善である。生活習慣病を意識し、生活習慣の改善に努めることは、充実した人生を送るための特効薬でもある。

 

生活習慣病を得るということは、その心構え次第では人生を楽しむ元にさえなり得る。

こう考えてくると、生活習慣病の予防・治療は、自然科学の範囲内に収まるものではないようだ。

 

検査結果値に従い 「この薬を使えばよい」とか 「この注射を打てばよい」とかいうことに留まらない。個々の患者の生活全般に関わる問題であり、最終的にはその患者の心、つまり精神的な面を無視することができない世界のようだ。

 

現代の医療は、めざましい進歩を遂げている。しかし、その現代医療にも、落とし穴があるように思える。現代の医療は、極めて自然科学的である。

血糖値を測定器具で測り、数値がある一定以上になっていればそれに見合うインスリンを注射する。

これによって、ほぼ血糖値は目標値まで下がる。

ここに落とし穴があった。インスリンによって血糖値が低くなり、實は安心して飲み食いをした。

体重がリバウンドした。75kgまで一気に増えた。血糖値はインスリンによって抑えられていたが、食事が腎臓に負担をかけた。

腎臓の機能はどんどん低下した。

 

現代医療の自然科学的な側面は素晴らしいという他ない。しかし、その現代医療は、血糖値が高ければそれを自然科学的に下げるということに終始しており、なぜ血糖値が高くなったかの原因探究などについては疎かであるとさえ思える。

 

自然科学の枠の範囲内においてだけ考え、その背景にある患者の生活環境や精神面についてはあまり関心を持たない。

 

このやり方では、生活習慣病は改善されない。のみならず、薬や注射によって血圧や血糖値が抑えられていると安心してしまい、食生活を始めとする生活習慣の改善を忘れてしまうという落とし穴に落ち込んでしまう危険性がある。

 

出浦先生は、NHKのラジオ放送において

 

「自然科学だけでは駄目だ。いくら医学知識があっても、自然科学的な治療をしても、それだけでは患者さんはどんどん悪くなっていくし、言うことを聞いてくれないこともある。これは、やはり私達医者が本当の仕事をしていないということになるのではないか、との疑問を持った」

 

と話されている。このような現代医療に対し疑問を持たれる医師や医療機関が1人でも多く現れることを、生活習慣病患者としては心待ちにしている。

 

私ら如きの力では足元にも及ばない世界で、私らの誤解に基づくものだとは思うが、現代医療にも落とし穴があるのではないか、と実感している。

このことを、これから勉強を積んで 『現代医療の落とし穴 (仮称)』とでも題して、一冊の本にして出せればと目標を高く掲げてみる。

 

目標は、生き甲斐、つまり生きる張り合いとなる 「生きる張り合い」こそ、生活習慣病改善の原動力である。

 

 

みのる法律事務所便り「的外」第200号 平成18年12月より抜粋

                 著 千田 實 弁護士

 

 
     
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