甘味料の種類と特徴|危険な人工甘味料の見分け方
2021.01.22
甘味料というと「体に悪そう」「なるべく摂りたくない」そんな感情を抱く方も多いのではないでしょうか。そんな甘味料に悪いイメージを持っている方に、甘味料といっても種類はたくさんあって、一概にすべてが“悪いもの”ではないということを紹介できればと思います。
甘味料とは
そもそも甘味料とは「食品に甘みをつけるために使われる物質」です。そのため、“砂糖”も甘味料の一種です。甘味料と聞くと食品添加物を思い浮かべる人もいると思いますが、普段私たちが甘いと感じる物質は全て甘味料なのです。
甘味料の種類
甘味料は「糖質系」と「非糖質系」に分類されます。それぞれ確認してみましょう。
糖質系甘味料
糖質系は砂糖をはじめとした天然糖、でんぷん原料による糖類、オリゴ糖、糖アルコールなどがあります。
砂糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、糖アルコ―ル(ソルビトール・キシリトール・エリスリトールなど)、オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、パラチノース、トレハロースなど)
非糖質系甘味料
非糖質系甘味料は、糖質を原料とせず、化学的に合成してつくられた甘味料のことをいいます。大きくは、天然甘味料と合成甘味料に分けられます。合成甘味料は食品由来ではないため「食品添加物」として分類されています。
天然甘味料:ステビア
合成甘味料:アスパルテーム、スクラロース、サッカリン、アセスルファムカリウム
人工甘味料の種類
先程たくさんの甘味料を紹介しました。言葉としてややこしいのですが、甘味料の中で「人工甘味料」にあたるものは一体どれなのでしょう。
人工甘味料とは甘味成分を人工的に抽出したものを指します。人工甘味料の中でも代表的なものを紹介します。
〇糖アルコール
・キシリトール
ガムなどでお馴染みのキシリトールなども人工甘味料と呼ばれることもあります。キシリトールは白樺やトウモロコシの芯などから得られるキシロースという成分を還元してつくられます。砂糖に比べると甘みは少ないのですが、「虫歯の進行を防ぐ」という特徴があります。
・エリスリトール
キシリトールと同じ糖アルコールに分類される「エリスリトール」もよくダイエット食品などに利用されます。エリスリトールは果実、きのこ、発酵食品などに含まれています。甘さは砂糖の70%程度ですが、糖アルコールの中でも唯一エネルギーが0kcalで、吸収されずそのまま体外に排出されるため、血糖値の上昇を抑えられるという特徴があります。
〇合成甘味料
食品由来ではないアスパルテームなどの合成甘味料も人工的に作られているため、人工甘味料とよばれます。アスパルテームは砂糖の200倍の甘さをもつ低カロリー甘味料で、ダイエットコーラなどに使用されています。
危険な甘味料はどれ
我々が抱く「人工甘味料=体に良くない」
このイメージは、甘味料全部のことではなく、おそらくここで紹介したアスパルテームやサッカリンなどの「合成甘味料」のことではないでしょうか。
これらの合成甘味料の甘さはブドウ糖などの食品由来ではないため、摂取したところで血糖値は上昇せず、少量で甘みを感じられかつ低カロリー。とても便利な甘味料ですよね。
合成甘味料が体に及ぼす影響
ただ、「人工甘味料=体に良くない」のイメージ通り、低カロリーの合成甘味料を使用したダイエット食品や飲料を摂取することによって逆に体重増加や糖尿病を引き起こす可能性が示唆されています。
「合成甘味料を使ったダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人と比べて糖尿病発症の危険が1.7倍高かった」[i]
このような研究報告もあるのです。
なぜこのようなことが起こるのか。1つは味覚の変化。人工甘味料の自然でない強い甘みに慣れることで、より多くの糖質を摂取してしまう可能性が考えられています。また、本来私たちの身体は甘みを感じたあとに血糖値が上がるようになっていますが、人工甘味料では甘みは感じるが血糖値が上がらない。そのため、エネルギーの恒常性が乱れ、脳の反応を介して“食べる”行動が促進されるのではないかとも考えられています。
もう1つは腸内細菌叢の変化。人工甘味料を摂取することによって腸内細菌叢が変化し、耐糖能異常が引き起こされる可能性があるのではないかと考えられています。
影響が心配なら「糖アルコール」の人工甘味料を
一口に「人工甘味料」といっても種類はたくさんあります。一概に全ての人工甘味料が危険というわけではなく、危険性や副作用が示唆されている甘味料は合成甘味料などごく一部。合成甘味料中でも安全性が高いといわれている甘味料もあるため、一口に人工甘味料は危険といいきれません。
でも合成甘味料などの食品添加物はちょっと・・・
という場合は自然界にある成分で人工的に作り出したキシリトールやエリスリトールなどの糖アルコールを選びましょう。合成甘味料に比べて、甘みが弱かったり、カロリーがあったりしますが、自然にある成分であるため安全性が高い人工甘味料といえます。
血糖値の上昇が抑えられたり、低カロリーである甘味料は、血糖値を気にしている方や糖尿病の方にはとても便利なものですので、それぞれの甘味料の特徴を理解し、賢く選んで使えると良いのではないでしょうか。
引用
[i] 人工甘味料と糖代謝|独立行政法人農畜産業復興機構