人工透析の食事療法:ポイント①〜③

①体内水分を増やしすぎないための水分制限

ご家庭での食事療法のコツ

  • 腎不全になると尿量が少なくなる。そのため、水分の摂りすぎはむくみなどの症状に繋がる。むくむことにより高血圧や心不全、肺水腫などを引き起こすおそれがあるため、水分の制限を行う。
  • 塩分を多く含む食事は、喉が渇き水分を欲するため減塩食を心掛ける。
  • 食事に入っている水分は1日約1000mLと考えられる。
  • 主食はご飯やお粥だけではなく、パンや餅を取り入れると水分量が抑えられる。
  • 水分の多い嗜好品(ゼリー、ソフトクリームなど)や、野菜・果物(トマト、キュウリ、スイカ、ミカンなど)を食べ過ぎないように気をつける。
  • 鍋物や煮物、汁物など水分を多く含む料理は控え、麺類の汁は必ず残す。
  • 茹でる・蒸す調理法は水分が多くなってしまうため、揚げる・炒める調理法を多く取り入れる。
  • 透析後から次回の透析までの体重増加率はドライウェイト(余分な体液を除去した透析終了後の体重)から5%以下が目安となる。食事由来の水分を考慮した上で、1日飲料(お茶など)を何mLまで飲めるのかを医師に確認する。
  • 毎日体重を計り、水分をとりすぎていないかチェックする。

②腎臓の負担軽減のための摂取たんぱく質の適正化

ご家庭での食事療法のコツ

  • 腎機能が低下すると、たんぱく質が代謝されてできる老廃物が体内に蓄積し腎臓病の進行や尿毒症を起こすおそれがあるため、たんぱく質の制限を行う。
  • 食品成分表や腎臓病の交換表で、各食材のたんぱく質量を計算しながら、食事記録をとる。
  • 細かい計算が難しい場合は、「肉・魚80gに約15~20gのたんぱく質が含まれている」と考える。
  • たんぱく質を制限した分は、野菜、きのこ、海藻類でボリュームを増し食事の満足感をアップ。(カリウム制限がある場合は要注意)
  • 体内で効率よく利用されるため、摂取するたんぱく質のうち60~70%は良質なたんぱく質(主に肉や魚などの動物性たんぱく質)を摂るようにする。
  • でんぷん米、でんぷん麺、低たんぱくご飯、低たんぱくパンなどの低たんぱくの治療用特殊食品を主食に用いる。

通常のご飯一膳(180g)には、4.5gのたんぱく質が含まれますが、低たんぱくの食品に変えると、その分を主菜に置き換えることができます。(ご飯からたんぱく質をとるよりも、主菜のたんぱく質の方が良質なので好ましい。)

③体たんぱく分解抑制のための適正エネルギーの確保

ご家庭での食事療法のコツ

  • エネルギー摂取量が不足すると体の組織を燃焼し、タンパク質を摂りすぎた時と同じように老廃物が生じ、腎機能を低下させてしまいます。そのためエネルギー量を確保した上でタンパク質を制限する。
  • 脂身の多い肉や魚の部位を使う。
  • 炒め物や揚げ物などの油を使う料理にする。
  • 粉あめ、MCTが使われている治療用特殊食品(高エネルギーゼリーなど)を利用する。
  • 低たんぱくで高エネルギーの食品をリストアップしておき、エネルギーが足りないときに利用する。(ポテトコロッケ、フライドポテト、カレー、大学芋、チョコレート、ジャム、果物のコンポートなど)
  • 食事療法の一番のポイントは、長く続けることです。無理をせず、できそうなことから始めていきましょう。たまの息抜きに宅配食を利用するのも一つの手です。なお、食事療法は担当の医師や栄養士と相談しながら、進めていきましょう。弊社の商品のお召し上がり方などについてご質問がございましたら、弊社管理栄養士までお気軽にご相談ください。おまちしております。
    【MFS管理栄養士】